『カームヤネツィ=ポジーリシクィイ』という言葉を聞いて、ウクライナの都市と言い当てることができる人はほぼいないのではないでしょうか。
ウクライナへの旅行が決まった時点で、キエフやリヴィウのような著名な都市だけでなく、マイナーなカームヤネツィに訪れることを計画していました!
「ウクライナに行くからには、東欧っぽい街並みがある穴場の都市に行きたい!」
『古城とか、石造りの民家とか、自然がいっぱいなとことないかな…』
“カームヤネツィ=ポジーリシクィイに全部ありそうだよ!!!”
目次
飛行機では行けない都市
リヴィウ発でカームヤネツィ=ポジーリシクィイ行のバスがあるので、事前に予約して乗り込みます。
約4時間のバス移動ということで、てっきり普通の観光バスのようなもので移動するものだと思っていたら…びっくり。
なんと乗り込むのはマイクロバスで、20人も乗らない程度の規模のバスでした。
1日に2、3便しかない唯一の公共移動手段なのに、こんなに小さなバスで移動することに驚きました。
現地でも相当マイナーな都市に行くんだな…と覚悟を決めた瞬間でした。
おせっかいガイドとの出会い
カームヤネツィ=ポジーリシクィイに到着。
なんとカームヤネツィにもAirbnbの格安宿があり、まずは荷物を置きに向かいます。
宿は一軒家の貸し切りタイプでしたが、壁には何ともメルヘンでおしゃれな絵が描かれており、子供心に帰るような楽しい内装でした!
寝室も人数分あり、キッチンもあり、屋根裏部屋もあり、価格も安い!
最高の宿でした。
しかし、最高なのはここで終わりません。
宿のホストである方にお会いしたところ、本業でこの街の観光ガイドをしているとのことで、散歩がてら街の探索の案内をしてくださることに!!!
せっかくなので、ガイドさんの案内の元、カームヤネツィを探索します!
かつての軍事要塞都市
カームヤネツィには、後ほど紹介する要塞を有する郊外都市であり、自然の地形と強固な石造りの要塞や街によって難攻不落の都市として知られており、その難攻不落さは、なんと「ウクライナの七不思議」に数えられるそうです。
その難攻不落の要塞都市を構成する石造りの街並みが、今となっては植生豊かな美しい景観に繋がっているようです。
ガイドさん曰く、日本人の観光客はかなり珍しく、会ったことがないと言われました。
ヨーロッパの国々からしてもマイナーな都市なので、貴重な体験をしているのだとつくづく思い知らされます。
コーヒーの神髄
まずガイドさんに連れてこられたのが、中心エリアにあるとあるカフェ。
注文するときになると、是非飲んでほしい名物のコーヒーがあるということで、皆そろって「ターキッシュコーヒー(トルコのコーヒー)」を注文しました。
そして席にやってきたのは、エスプレッソサイズのカップに入ったコーヒーと、なぜかショットグラスに注がれた水。
『これこそがコーヒーの本物なんだよ。焙煎したコーヒー豆を、濾さずにそのままお湯で溶いているんだ!』
「え…苦い…粉っぽい。けどコーヒー豆の味は美味しい!」
『世界で一般的に飲まれているものは、単なるコーヒー味のお湯なんだよ。これが本物のコーヒー。』
思わず笑ってしまいました。
我々がこれまで飲んできたものは、コーヒー味のお湯なのかと考えさせられます。
ちなみに一緒についている水は、コーヒーが濃すぎるため、チェイサー的に飲む水だそうです。
カフェの内装もビンテージ感あふれる感じで、雰囲気があり大変良かったです。
地下には店長の趣味だという、昔の拷問器具たちが収蔵されており、ガイドさんのコネもあり特別に見せてくれました。
やはり城塞都市ということで、防衛に関わる様々な道具があるようです。
ビールがすすむ食事
リヴィウ同様、外食をしてもかなり安く済みそうだったので、カームヤネツィでの食事は基本的に毎回外食でした。
いつもメイン1品とビール1杯を注文していましたが、日本人の舌にも馴染みのあるような一般的な洋食の味で、安心感と共にビールがすすみます!
ウクライナでの食事+ビールは本当にコスパもよくて美味しくて最高です!
後悔があるとすれば、無意識で毎回ビールを注文していましたが、現地のお酒を飲み忘れたことでしょうか…。
ウクライナの七不思議
カームヤネツィ観光のメイン、旧要塞に向かいます。
市街地エリアからは橋一本を隔てた位置にあり、街中からみても一段高い位置にあるため、要塞の位置は一目瞭然です。
ただ、ウクライナの七不思議に数えられる難攻不落ぶりに象徴されるように、周りは断崖絶壁で、橋以外からアクセスするのは難しそうでした。
複数の斜塔とそれらを繋ぐ城壁で構成されており、門をくぐっていざ要塞の内部へ!
要塞を構成する城壁や塔の中には、軍隊が移動する通路や、砲撃のための窓が開けられており、見学することができます。
城壁が通路で長く繋がっているため、城壁を介して要塞エリアをぐるりと一周することができます。
また、塔の部分には階段があり、かなり急勾配ですが上ることができるので、高い位置から街並みを一望することもできました。
石の組積で造られた建造物で、そこに差し込む光も相まり、建築的な美しさも感じることができました。
城壁リノベーション
城壁の石造りの空間を利用した店がいくつか入っているのですが、その内の一つ、陶器工房へと連れてこられました。
ガイドさんと仲が良い方が陶器を制作しているようで、工房の風景も見学させてもらえました。
形成済みで乾燥させている陶器が並べられており、まとめて焼くのだそうです。
温度・湿度変化が少ない石造りの内部空間だからこその工房ですね!
もう一軒、パン工房も訪れました。
外に置かれた石窯で焼いているパンの香りに引き寄せられたためです(笑)
名物の石窯パンは、特別な具材や味付けがなく、小麦粉本来の味わいと窯焼きの香りを楽しむことのできる硬めのパンで、一つ買って朝ご飯にしました。
城壁リノベーションという贅沢な空間の使い方ですが、現地の生業に結びついていて非常に興味深いです。
夜に映える城塞
帰りの時間には、すでに日が沈みかけて暗くなっていました。
都会のような街中の明るさがなく全体が暗い分、城塞とそこに至るまでの橋のライトが強く浮かび上がり、美しい写真が撮れました。
緯度のせいか、夜が近づいても空は青っぽい色をしており、電球色の暖かい色の光との対比が美しいですよね…。
ミニチュアミュージアム
要塞へと続く橋を渡る前の位置に、ミニチュアミュージアムがあります。
先ほど見た要塞の他、実在する著名な建築物たちのミニチュアサイズの模型が、屋外に展示されています。
訪問時間が夜だったため、建物内から光が漏れる雰囲気も再現されているところも見れて満足です!
実際の要塞を見た後に、ミニチュアサイズの要塞を見ることで、鳥の目から虫の目に移り変わるような観察ができました。